2008年8月19日火曜日

魔の街恐るべし・・・。




 え~と、自動車免許の更新に行きまして。



神田にある、免許更新センターだっけか、あすこはいいですね、素晴らしい。

人が少なくてゆったりしてるし、お巡りさんが懇切丁寧に順序を教えてくれるし
あっという間に気持ち良く終わる。



が、重大な問題点が一つ。



すぐ横に、魔の街があるんです。



その名は神保町。



古本屋と冒険グッズ屋がずらり立ち並び、もしウッカリ足を踏み入れようものなら
お金を使わずに通過する事ができず、いつの間にか両手に袋をたくさん持っている、という
歌舞伎町の数十倍危険な凶悪地帯なのです。



で。



今回もやっちゃいました。


見つけた時、失神しました。


…フと気付いた時には、手に入れちゃってました。うん。





しっぺい太郎 表紙
しっぺい太郎 表紙 posted by (C)りうです



・・・ちりめん本!!猫の浮世絵!!しかも俺の大好きな昔話、しっぺい太郎!!!

まさに俺専用の極悪な三重トラップ!!!

こんなの、俺が買わずにいられるわけないでしょうが!!全くもう!!





しっぺい太郎(5)
しっぺい太郎(5) posted by (C)りうです



ぅお~、これ、国芳とかの猫浮世絵ファンな皆様方なんか
喉から手が出て耳に入って奥歯ガタガタいわせちゃうぐらい欲しいんじゃないかなぁ…。



あぁもうたまんねぇっす、超ラヴリー、超ラヴリー(*´Д`)ハァハァ



……え~と、なんだ、あれか、ちりめん本について軽く語っときますか。



明治時代の浮世絵と物語が描かれた、和紙をちりめん状に加工した絵本です。

浮世絵師、刷り師、和紙の高品質と、それを縮緬状に加工するという技、
当時の日本が世界に誇る職人さん達の超高等技術の集大成でしょう、うん。



他の浮世絵と同じく、ほとんどが海外へのお土産として流出したため
日本にはほとんど現存しておらず、一部の大学や美術館に極少数が収蔵されてるだけ…

…なはずだと思ったんだけど…

なんでこんなん、あんな、あんな、奮発すれば俺が買えるような値段で売ってるんだよ、
うぉ~怖ぇ~、さすが魔の街神保町、マジ怖ぇ~・・・(((((((;´д`)))))))ガタガタ











ともかく、本当に貴重な品で、稀に美術展なんかでガラスケース越しに
見かける事はあるかもしれないけど、中に何が書いてあるか見たい人、きっといますよね。


あと、

「しっぺい太郎なのに、なんで猫が踊ってるん?」

と素朴なツッコミを入れる方もいらっしゃるだろうと思うので、
夏休みの自由研究として、全ページを写真に撮り、載せておきました。



ついでに、ものすごくザックリと、かなり適当ですけど意訳も載せておきましたので、
結構幻に近いであろう明治時代のちりめん本、どうぞ存分にご覧下さいヾ(=^▽^=)ノ



こちら↓

縮緬本版 しっぺい太郎 (雑な和訳付き)



※うちの母、「しっぺい太郎」を知りませんでした彡(-_-;)彡ヒューヒュー

ひょっとして地域限定の昔話なのか?

ともかく、今の日本で一般的に語り継がれていると思われる「しっぺい太郎」のお話を
あらすじだけですけど若干アレンジし、以下に載せておきますね。



  しっぺい太郎(俺の勝手な創作プラス版)



 昔々あるところで、とある村の前を旅の僧が通りかかった所、
村人たちが皆、深く嘆き、悲しんでいました。


僧がわけを聞いたところ、どこからか飛んできた白羽の矢が刺さった家は
娘を山の神に生け贄として捧げなくてはならない、
さもなくば村が滅茶苦茶に荒らされてしまうのだ、と言います。


僧が山の神を祭る古い祠に行き、夜まで隠れていると
あちこちから黒い影に包まれた化け物達がやってきて、恐ろしい声で歌います。


しっぺい太郎はおるまいな

しっぺい太郎はおるまいな

今宵この時この事は

信州信濃の光前寺

しっぺい太郎に知らせるな


僧はすぐに信濃の光前寺へ行き、しっぺい太郎という名の犬と
妖怪退治の剣を一振り借り受け、村へ戻りました。


生け贄の箱にしっぺい太郎を潜ませ、僧が祠の中に隠れていると
夜、化け物達と共に、一際大きな化け物の首領がやってきました。


箱の中から風を巻き飛び出したしっぺい太郎と
妖魔退治の霊剣を平星眼に構えるや祠から駆け出し、討ちかかる僧!!


荒れる大波の如く打ち寄せる物の怪達を
ばったばったとちぎっては投げちぎっては投げしているうちに
僧の背後から首領が、山も砕けよとばかりに恐るべき咆哮を上げつつ飛びかかる!!


すわ、南無三!!


あわや、という所で稲妻の如く首領の喉元に喰い付いたしっぺい太郎!!


首領のひるんだ刹那、僧は「咄(とつ)!!」の掛け声一閃、
見事袈裟懸けに斬り捨てたのであります!!


(↑この辺、俺の熱意溢れる勝手な創作)



夜が明け、村人達が祠に行ってみると
たくさんのお猿と、巨大なヒヒが倒れていたのでした。


村には平和が訪れ、しっぺい太郎はお寺に帰り、僧は旅に出て、
みんな幸せに過ごしましたとさ、めでたしめでたし(^^)






ちりめん本版 しっぺい太郎 その1






しっぺい太郎 表紙
しっぺい太郎 表紙 posted by (C)りうです






しっぺい太郎(1)
しっぺい太郎(1) posted by (C)りうです



しっぺい太郎

日本昔話第十七号

竹箆太郎

明治二十一年十二月一日印刷
同七日発行

責任者 長谷川武次郎
英訳 ジェイムス夫人
印刷者 金子徳次郎





[序文]



このお話は、日本で伝えられている、たくさんの昔話の中でも
最も広く知られているものの一つです。



別ページに載せた犬の絵は
三峰や御岳山で「大口真神」と呼ばれる
魔除け、盗難除けの犬神様の姿を用いました。


これは、しっぺい太郎のお話と、とてもよく似た共通点がいくつか見られます。



これを読んだ子ども達はきっと、まるで日本を訪れたかのように
日本の姿を想像する事ができるでしょう。






しっぺい太郎(2)
しっぺい太郎(2) posted by (C)りうです




     しっぺい太郎



昔々、妖精や巨人、鬼や龍がいた頃のお話。

若くて勇敢な侍が、冒険を求めて世界を旅していました。





しっぺい太郎(3)
しっぺい太郎(3) posted by (C)りうです



彼が旅をしていると、深い深い森がありました。



侍は森に入ってみましたが、そこには誰もいません。


やがて山のふもとにたどり着きましたが
どこまで歩いて行っても家も村も見当たらないまま日が暮れ、そして夜が訪れました。



侍が深い草をかきわけながら進んでいくと、
彼の前に突然、ボロボロのお堂が現れました。



侍は食べ物を何も持っていませんでしたが、
それでも夜露がしのげるだけましだと思い、空腹のまま、お堂で寝る事にしたのです。





しっぺい太郎(4)
しっぺい太郎(4) posted by (C)りうです



夜中、侍が寝ていると、なにやら外が騒がしい。



一体どうした事だろう、と侍が壊れた壁から外を見ると、
なんと化け猫達が歌い、踊っているではありませんか!



化け猫達は恐ろしげな声で歌っています。



「今宵この時この事は しっぺい太郎に知らせるな
しっぺい太郎に知らせるな」






ちりめん本版 しっぺい太郎 その2はこちら




ちりめん本版 しっぺい太郎 その2






ちりめん本版 しっぺい太郎 その1はこちら





しっぺい太郎(5)
しっぺい太郎(5) posted by (C)りうです



美しい満月が、恐ろしげに踊る化け猫達を照らし続け、
やがて真夜中を過ぎた頃、化け猫達は突然消えてしまいました。





しっぺい太郎(6)
しっぺい太郎(6) posted by (C)りうです



侍は朝日が昇ると同時にすぐお堂を出て、足早に進むと
ようやく森を抜け、村を見つける事ができました。



しかし、村では娘がさめざめと泣いており、皆も嘆き悲しんでいます。


侍はお腹が空いているのも忘れ「一体どうしたのだ?」と尋ねました。





しっぺい太郎(7)
しっぺい太郎(7) posted by (C)りうです





村人は首を振り、泣きながら答えました。



「毎年の事です!!


毎年、山の神にわしらの娘を生け贄として捧げなければいけないのです。
さもなくば、村を滅茶苦茶に荒らされてしまうのです!!」



生け贄を欲しがる神などおかしい、と思いながら
侍は更にくわしく話を聞きました。



生け贄を捧げる夜、娘を箱に入れ、侍が寝ていたお堂の前に置いておくと
夜明けには娘がいなくなっている、と言うのです。





しっぺい太郎(8)
しっぺい太郎(8) posted by (C)りうです



侍は、昨夜の不思議な出来事を思い出し、ふと尋ねました。



「誰か、しっぺい太郎という者を知っておるか?」



村人達は口々に、こう答えました。



「しっぺい太郎はとても強く、美しい犬です」



侍は皆にこう伝えました、



「うむ、そのしっぺい太郎という犬が、この悲劇を解決する糸口になるかもしれぬ」と。



そして侍はすぐにしっぺい太郎を借り受けました。





ちりめん本版 しっぺい太郎 その3はこちら





ちりめん本版 しっぺい太郎 その3






しっぺい太郎(9)
しっぺい太郎(9) posted by (C)りうです




夕暮れになり、侍は生け贄の娘を入れる箱の中にしっぺい太郎を潜ませると、
娘に「決して家から出てはいけないよ」と言い残し、箱を運ぶ村の若い衆と共に
あのお堂へと出かけていきました。





しっぺい太郎(10)
しっぺい太郎(10) posted by (C)りうです



村の若い衆は化け物を恐れ、箱を置くと大慌てで逃げ帰ってしまいました。



古びたお堂には侍としっぺい太郎だけが残り、やがて夜の闇が辺りを包んでいきました。



そして真夜中。



山の上には満月が輝き、集まってきた化け猫達を照らしています。




しっぺい太郎(11)
しっぺい太郎(11) posted by (C)りうです



今回やって来た、化け猫達の真ん中にいる
どの猫よりもずっと大きな黒い化け猫が親分だろうと、侍は一目でわかりました。



化け猫の親分は、箱の周りで騒ぎ、踊り、飛び跳ねています。



そして化け猫の親分が嬉しそうに箱を開けた途端、
しっぺい太郎は風を巻いて飛びかかり、一瞬の内に噛み付きました。



あっと思う間もなく侍が斬りかかり、化け猫の親分は一撃で倒されてしまいました。



これを見た他の化け猫達は、あまりの恐怖に飛び上がり、散り散りに逃げて行きました。





しっぺい太郎(12)
しっぺい太郎(12) posted by (C)りうです



侍は村に戻って、数え切れないほどたくさんの感謝と共にしっぺい太郎を飼い主に返し、
娘の家で「化け物は倒した、もう安心だ」と伝えると
「全てはお主の勇敢さのおかげだな、しっぺい太郎」とつぶやき、
また新たな冒険を求め、旅立って行ったのでした。



めでたしめでたし!!





しっぺい太郎 背表紙
しっぺい太郎 背表紙 posted by (C)りうです





ちりめん本版 しっぺい太郎 その1はこちら


ちりめん本版 しっぺい太郎 その2はこちら