2014年12月1日月曜日

かなり無理目なレディに手を出してみたら、意外とどうにかなるもんだ、という話。



インターネットが発達し、世界中のあらゆる場所と自分が
リアルタイムで繋がっている今の時代は、良くもあり悪くもあり。


や、コルトレーンさんやスタン・ゲッツさんなどを聴いていても
あまりに世界が違い過ぎて、そんな事は1ミリも思いつかなかったんだけれども。




















YouTubeなんかで、すご~く上手な人も、あんまりそうでもない人も(;´∀`)
世界のおっさん達が、みんなすご~く楽しそうに
テナーサックスを吹いているのを見ていたら、
なんかもう、俺もやってみたくて、ウズウズしてきちゃってさぁ。


下の動画は2012年のものなんだけど、
亀仙人的なじいちゃんがスタスタと登場したかと思ったら
いきなりソニー・ロリンズさんの「St. Thomas」を楽しそうに演奏し始め
魅力というより、もはや魔力に近い音色で周囲を温かく包み込みながら
聴衆を虜にしちゃってるじゃないですか。

俺も口を半開きのまま引きずり込まれて、うおー何なのこの人と思ったら
ソニー・ロリンズさんご本人だそうです、マジかい∑(゚Д゚;)







ソニー・ロリンズさん、ご存じですか?







1950年代、既にジャズプレイヤーの最高峰に君臨していたにも関わらず
ある日を境に2年間、マスメディアの前から忽然と失踪。


その間何をしていたかというと、更に上の領域を目指し、そして到達するため
住んでいるアパートの近くにある橋の上で一人、サックスの練習をひたすら続けていた、
という伝説のお方です。





【輸入盤】Bridge [ Sonny Rollins ]








話を戻すけど、なんだかみんなすごく楽しそうだから
俺も試しにテナーサックスやってみたーい!!わおー!!

そして練習を続けて、もし運良くまともに吹けるようになったなら、
ちょっと気が向いた時に(さすがに下の動画レベルまでは無理だと思うけど(;´∀`))
「There will never be another you」みたいのがひょいと吹けたら
なかなか楽しそうな人生だと思いませんか?ね(^^)









というわけで、ようやく俺もおっさんの年代にドップリ突入した事だし
自分用クリスマスプレゼントにヤフオクか何かで
中古のヘボいポンコツサックスでも買ってみようかな、と思ったんですが。


色々な人の話、動画で聴き比べをするに、どうもテナーサックスは
メーカーや種類、年代、マウスピース、吹く人等々によって音色が全然違う、らしい。


調べてみると、俺が音色にホレていたサックスは
New Wonder(チューベリー)か10M/30Mと呼ばれるモデル、
とにかく「C.G.Conn」というメーカーが制作していた、ずいぶん昔のものらしい。


アルトの6Mと並んで、女性の肖像が彫られた
"Lady Face"あるいは"Naked Lady"と呼ばれるものは
1950年代あたりまでアメリカのジャズシーン黄金期を支え続けた名機、らしい。

(一番上の動画三本は、全部Connの10Mだそうです)


そんな何十年も前の楽器だったのかぁ、中古なんかあるのかなぁ、
と一応探してみると、ギターと同じように、ポツリポツリと市場に出ているんですね。


ただし、「中古」ではなく「ヴィンテージ」と呼ばれ
ガッツリとプレミア価格が乗っかっていますけれども。



で。



C.G. Conn Connqueror 30M テナーサックスの写真
「C.G. Conn Connqueror 30M」



1938年か39年(昭和13年か14年)に制作された
C.G.Connの30Mを買いました。



当時、ジャズのプロ達が愛用していた10Mを更に細かくカスタマイズできるようにした

希少なスペシャルモデル、らしい、です。



た・・・・・・



・・・・・・高かった・・・・・・(白目)



もちろん他にも本当にたくさんのメーカー、種類があって、
現代のサックスも正しい音が出しやすいとか、操作しやすいとか
色々なメリットがあるらしいんだけれどもさ、
やっぱりなんと言っても、楽器はまず、自分が好きな音色でないと、
飽きそうな予感がするもんねぇ..( - -)


俺は音程がちょっとぐらいおかしくても、操作性がちょっとぐらい悪かったとしても
やっぱりこの、コーンのヴィンテージサックスの音が一番好きなんだから
これはもう、しょうがない。




C.G. Conn 30M Lady Faceの写真
「C.G. Conn 30M Lady Face」

(↑レディは職人さんの手によって相当精密に彫られており、
女性の顔が一台一台全て違うようです。うちのレディはもちろん
バツグンにイイ女です(´ω`*))


「ヴィンテージ」と呼ばれる人気のテナーサックスも他にたくさんあり、
例えば1950年代も後半になると「セルマー」というメーカーの「マーク6」という機種が
ジャズ市場を席巻、プロはみんなこれを使うようになった、という
現在でも大人気のサックスがあるんですが、俺はこの音色と演奏をあれこれ聴いてみて
(あくまで単なる個人的な印象、思い込みでしかないけれど)
なんとなく、全体的に、都会の日の出のような音色、という印象を持ちました。

ん~、高層ビルに朝日が当たって黄金色に輝き始め、太陽が昇って行き、
街に人がどんどん溢れ、これから活気が漲ってくる、そういうイメージ。


翻ってコーンのチューベリー、6M、10M辺りの音色は日暮れの音色、
古き良きアメリカの少し郊外、空が黄昏色から濃いブルーに染まって夜の帳に包まれ
バーのネオンに明かりが灯る頃、頬を撫でていく夏の夜風の匂いがする。

あるいはガタイの良いおっさんが楽しそうに朗々と歌っているようでしょ、
なんとなく。


で、現在の俺にとっては(良い悪いではなく)
コーンの音色が最も好みに合っていました。




C.G.Connの昔のエンブレムの写真
「C.G.Conn emblem」







さて、サックスどころか木管楽器自体が全く未経験な俺でしたが、
サックスに初めて触れた時の感覚として、(俺が接した事のある楽器の中では)
難易度は同じ音程の金管楽器と同じぐらいかなぁ、と思いました。

(金管と音の出し方は全然違うけども)


音を出すコツをつかむまでは「これで本当に音が出るのかよ( ;´Д`)」と青くなり、
コツをつかめると、とりあえず汚い音でドレミの音がどうにか出る、
そして汚い音を綺麗な、狙った音で出すためには
日々の修業が必要、という感じですかね。


「楽器の中でサックスは一番簡単!すごく簡単!」

みたいな都市伝説をたまに見かけるけど、
そこまで簡単ではないと思います(;´∀`)

(単に「演奏が簡単な楽器」というレベルで語るなら、俺が唯一弾き語りできる
沖縄のカンカラ三線の方がよほど簡単に弾けます)


これ、何も知らずに、ただ口の中の息だけを吹き込んでみても
たぶん「プスー プスー」と息が通るだけで、音は出ないと思います。


マウスピースをくわえる口の形(アンブシュア)については
上級者・プロ・指導者の方々があちこちで丁寧に解説してくれているので割愛して、
俺は「ノドの形」も、口の形と同じぐらい大事だと感じました。

(多分、慣れてくると無意識にできるようになっていくんだろうけど)


例えば低い「ド」の音を出す時、
低い「ド」が鳴るボタンを押して息を吹き込むだけではダメで、
低い「ド」の音で「ドーーーー」と自分の声で歌う時と同じように
ノドの形を丸く広げてお腹の息を流しこんでやらないと、低い「ド」の音は出ません。

低い「ド」が鳴るボタンを押していても、
1オクターブ高い真ん中の「ド」の音を「ドーーーー」と歌う時のノドの形にすると
何故か1オクターブ高い真ん中の「ド」の音が出てしまいます。

面白い楽器だね。

「演奏する楽器」というよりは、口に接続すると自分の声の代わりに歌ってくれる
ノドの延長装置、みたいな印象があります。



実家にサックスが届いて初めて吹いてみた時、
低い「ド」の音が出るボタンを押しながら息を吹き込んでも
最初はしばらく「プス プススー」と息が通り抜けるだけで
音など全くでませんでした。


「うわーヤベー、これは・・・・・・やらかしちゃったかなー・・・・・・( ;´Д`)」


と青くなって変な汗が出てきたけど、
本やネットのあちこちで教えてもらった

「温かい息をはーっと吐く時のように」などの話を参考に
ノドを丸く開いて息をドオオーー、と腹から吹き込んだら


「プス・・・プスス・・・
ドオオオオオーーーーーーーーー!!!!!


と、俺のホレ込んだあのシビれる音色が
お昼の氷川丸の如きとんでもない爆音で家じゅうにドカーンと響き渡り
猫たちがみんな驚いてビヨヨーンと一斉に飛び上がり、
背中の毛をモヒカンに逆立てながら「どうしたの、なんなのなんなの」と
野次馬にゾロゾロ集まってきた時の衝撃と、体内をゾクゾクと駆け抜けて行く興奮、
あれは本当に、素晴らしい体験でした。


(※サックス全然未経験だけどとりあえず買っちゃった同志の皆様へ

一番最初に音を出すなら、真ん中の「シ」の音辺りが出しやすいらしいです、
そしてリードも水につけるか組み立て中ずっと口にくわえツバを吸わせるかして
水分をしっかり吸わせておく事も大事です)


とにかく、(特に低い音を出す時)

・お医者さんに行って「喉をアーンして」と言われた時の喉の感じのまま口を閉じる

あるいは

・ピッコロ大魔王が口から「ガァッ!!」とエネルギー弾を撃つ時のような
喉の感じのまま口を閉じる

・・・この、「喉仏を上げ、喉を丸く開いたまま口を閉じて腹の息を送る」という
日常ではありえない不自然な状態に慣れれば、
真ん中2オクターブの音出しまでは結構行けるんじゃないかと思います。







とりあえず、現時点で我が最大最強のライバルは小木。









おのれ小木、ドレミファソラシドが吹けるとは!!

ほとんど我が輩と似たり寄ったりのレベルではないか、
こやつめ、なかなかやりおるわ・・・ぐぬぬぬぬ・・・

よ~し、我が輩ももっとグイグイ練習に励んで
メガネの有る無しがサックス演奏の決定的差でないということを教えてやるっ!!


そして最終的には更なる高みへ上るため、俺もソニーロリンズさんのように
両国橋の親柱の上に乗っかってる丸いアレの上に2年間立ち続け、
目を逸らしながら足早に通り過ぎようとする通行人の皆様を
ジーーーッと凝視しつつ、ロングトーンで低い「ド」の音を「ドオオオーーー!!!」と
延々浴びせ続けて、通行人の皆様、すっごい困り顔、みたいな!!


東のメガネVS東の裸眼・・・・・・
最底辺のサックスバトルが、今、幕を開く・・・・・・
(ゴゴゴゴゴ・・・)



というわけで(?)、練習を始めて一週間ぐらい、今、
とりあえず真ん中の2オクターブは普通に出せるようになったので
試しに「枯葉」や「ルパンIII世」のメロディーを吹いてみたら
普通に鳴らせた(演奏と呼べるレベルではない)んだけれども、
まだタンギング等が全然スムーズにできないどころか
そもそも一音一音が全っ然安定していないので、
なんての、ピアニカを雑にブ~カブ~カと吹いているような
非常に締まりの悪い、すご~くかっこ悪いメロディーにしかならないです。


とにかく、まず音が安定して出せない事にはお話にならないので
今は練習時間中、曲に全く手を付けず、
ひたすらロングトーン練習のみやってます。

(一つの音を一定の音量で長く吹くのと、
息だけ流して音を出さない→ジワーッと音を出しジワジワ最大音量へ、
あるいはその逆の練習)


でも「練習」と言っても、ほとんど遊びのようなものだけれど。

押さえるボタン、口の形、喉の形、呼吸、姿勢、
(俺はひどい猫背なんだけど、背筋を伸ばして正面を見ないとちゃんとした音が出ない)
全てが整って正解の時だけ、ジャズ黄金期にステージの上でスポットライトを浴びながら
湧き上がっていた、あのシビれる音が正しい音で出る、
自分で出す事ができるんだから、まぁ、苦になりませんわね。


ジョギングやローラー台の絶望的なつまらなさに比べたらもう全然楽しい、
コナミの音ゲーで遊んでるようなもんです。


また、どういうわけかわからんけども、
毎日同じロングトーンを同じように延々やってるだけなのに、
毎日ジワーッと、ほんの少しずつだけど鳴らせる時間が伸び、
音も安定してきているような気がします。

なにかこう、音を出す筋肉、的なものがあって、ジワジワ鍛えられているんだろうか。


(逆に、どんなに練習して上手になってきても、そこで満足して練習をサボっちゃうと
「練習をサボった時間分だけ経験値がどんどん減ってレベル1に戻っていく趣味」
の臭いもプンプンします(;´∀`))


ともかく、アメリカ生まれのかなり無理目なレディーにいきなり手を出して

「経験無いボーヤなんてお呼びじゃないわよ」

と手に負えないような難易度だったらどうしよう、と結構心配していたんだけど、
実際には手取り足取りテクニックを教えてくれて
俺のスキルとレベルを引っ張り上げてくれる
ツンデレなお姉さまだったので、本当に安心しました。



・・・・・・楽器は音色が全て、文章や写真でいくら語ってもしょうがないか。


まぁあれだ、そのうち、他人様に聴いてもらっても恥ずかしくないぐらいの演奏が
できるようになったら、俺も世界のおっさん達と同じように、
一人サックス発表会みたいな動画を撮影して掲載したり・・・・・・


・・・・・・そんなレベルまで、行けたらいいねぇ(;´∀`)





※2016年8月追記:この一年半後、これぐらい吹けるようになりました→こちら


※2017年1月追記:この話の二年後、これぐらい吹けるようになりました→こちら


※2017年8月追記:二年半後、これぐらい吹けるようになりました→こちら











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