2016年12月11日日曜日

日記 2016/11/2 北村英治&村井祐児&八代亜紀  クラリネット玉手箱が良かった




タイトルのとおり、北村英治さん&村井祐児さん&八代亜紀さんによる
「クラリネット玉手箱」というコンサートへ行ってきたらすごく楽しかったので、詳しく書いておく。


※今後、同じようなコンサートが開催される事があるかもしれないけど、
ここにはネタバレ(?)がたくさん書かれているので
もし行かれる方は読まない方が絶対楽しめると思います('▽'*)ニパッ♪



平日だったんだけど仕事終わって大急ぎで駆けつけたら
ギリギリ間に合って、冒頭、北村英治さんの登場とほぼ同時に席へ滑り込む事ができた。

東京は、E電も私鉄も、ちょいと待っていれば次から次へゾロゾロホイホイ来やがるから
急いでて時間が無い時でも無理な駆け込み乗車をする必要がなくて本当にありがたい。


さて、このコンサート、ジャズクラリネット奏者の北村英治さんが
クラシッククラリネット奏者の村井祐児さんにジャズのテクニックを教え、
逆に北村さんには村井さんがクラシックのテクニックを教え、
曲の合間はお二人による、まるで歯車の噛み合わない会話のキャッチボールに爆笑して、
飛び入りのスペシャルゲストで登場した八代亜紀さんがジャズを歌い……

…と、文章に要約してみると、カオスの極みみたいなイベントにしか見えないんだけど、
やぁ~、あれは面白かった。そしてほんとすごかった。あれは行けて良かった。






まずは北村さんのカルテットによるRose Roomでお客さん達のテンション初っ端から↑↑、
It`s Been A Long, Long Time→枯葉、とテンポ良くスウィングを繰り出し
お客さんを更に心地よく酔わせ熱量上昇、会場がばっちり温まる。

横浜ジャズプロムナードの話でも書いたけど、
やっぱこの人達の演奏は良いわ。いい。すごく気持ち良い、うん。

細胞の中に溜まって淀んでいる気持ちの一粒一粒に
エネルギーが与えられて励起して、活力が漲ってくるような爽快感と高揚感。


そして会場の熱量が良い感じにムンムンと上がった所で
クラシックの村井祐児さんがピアノ伴奏の中島由紀さんと共に、静か~に登場。

村井さんは芸大の先生をなさっておられるそうで、一体どんな曲をやるのかな、と思ったら
なんとサン・サーンスの動物の謝肉祭から、なんだっけ、森の中のカッコウってタイトルだっけ、
あのパートを唐突に、静か~に演奏開始。



ピアノ「・・・・・・ポロン ポロン ポロ~ン・・・・・・」

クラリネット「・・・・・・カッコ~  カッコ~・・・・・・」


と、めっちゃくちゃ演奏技術の高いお二方が、ものすんごい本気でカッコウカッコウやってて
おぉ、この後、白鳥とか続けてやるのかなぁ、と思ってたら


ピアノ「・・・・・・ポロンポロン ポロン  ポロ~ン・・・・・・」

クラリネット「・・・・・・カッコ~      カッコ~   カッ コ~・・・・・・」


・・・・・・し~ん・・・・・・



二人とも深々とお辞儀して終了。



・・・・・・。



お、終わりなのか~い(;´∀`)!!!



と、この異常にクオリティの高いカッコウに加えて
前のスウィングとの熱量ギャップがあまりに大きくて、もう俺、可笑しくて可笑しくて、
初っ端からひぃひぃ言いながら笑いをこらえるのがほんと大変だった(´∀`)

会場のみんなも、すっごい「!?」「ざわ・・ざわ・・」状態になってた(笑)

やぁ、あんなハイクオリティな生カッコウを聴ける機会はなかなかないと思うんで
それだけでも貴重な経験だったね、わはは(´∀`)
(まぁ、コンサートの曲目にこれだけ入れる方って、あんまりおらんかもしれんけども(;´∀`))







続いて、北村さんと村井さんがお互いにジャズとクラシックを教え合うコーナー。


北村「今日はクラシックのクラリネットについて、教えていただこうと思うんです(´∀`)」

村井「……やぁ、芸大を出ても就職先を探すのがなかなか大変だし、私(以下自粛)……(´-ω-`)」

北村「……いやいや、生活とかお金の事じゃなくて、吹き方ね、演奏を教えていただこうと(;´∀`)」


というわけで、まずは村井さんのクラシックのテクニックのツボ。


「ピアニッシモ(小さい音)を、粒を揃えてリズム良く出せるようになりましょう」


という事で、お手本にト、ト、ト、ト、ト…と、まるでシャンパーニュの琥珀色の海に立ち上る泡のように
うんと小さく、でもきちんと芯のある大きさの揃った音の粒を次から次へと創生していたんだけど、
や、俺クラリネットやった事ないからわかんないけどさ、
管楽器で、あの、きれいに粒の揃ったまま、きちんと前に飛んで行く、極小さい音を出せるのって
あれは結構な高等テクニックなんでないの?


少なくとも俺のテナーサックスは、大きい音を出すのはほんと簡単なんだけど、
小さい音、いや、目の前の床にポソッと落ちるような単なる弱い音ではなく、
形が綺麗に整い、芯があって前に飛んで行く小さい粒の音を出すのが本当に難しい。


例えば…なんだ…曲で言うなら、スターウォーズのAcross The Starsだとか、
ニューシネマパラダイスの愛のテーマだとか、冒頭、風に乗ってどこか遠くから
さりげなく聞こえてくるぐらいのピアニッシモで入ったら素敵だなぁ、と思うような曲で
イメージ通り、静か~に入ろうとすると、


「・・・・・・ぷ・・・ぷすぅ~・・・・・・」


と、スカすのに若干失敗した屁のような音が登場し、なんというか、
地面に深さ3mぐらいの穴を掘って中に入り、
体育座りをした上から厚手のお布団をそっと何枚もかぶせてもらいたくなるような、
鬱屈とした寂寥感が周囲を包み込んでしまう事がよくあるのだ。

で、…ぷ…ぷす…ぷぅ…と、なかなか綺麗なピアニッシモが出なくて

「ぬぁ~もう、じれってぇなぁこんちくしょ~い!!むぅんっ!!」

と息を全力でぶっこんで、結局

「どっか~ん!!ばんぼぼ ぼばんぼ ばんぼぼ ぼばんぼ!!」

と、集会の直管コールみたいな常に全開の演奏になっちゃうんで
そこんとこ夜露死苦ぅ!!!愛羅武勇ぅ!!!愛死美絵無ぅ!!!


う~む、練習し続けていれば、そのうち綺麗に整ったピアニッシモも
狙った粒の大きさで確実に出せるようになってくるのかしらん。


ちなみに北村さんは、2~3回ピアニッシモを出した所で速攻で飽き始め
ト、ト、ト・・・トゥ~ルルルゥ~('▽'*)♪ と元気いっぱいなグリッサンドで超ご満悦のどや顔。


村井さん「……いや、もう、そういうのができる事は、充分わかってますから……( ;´Д`)」


そしてお二人でメンデルスゾーンのコンチェルトシュトゥックを演奏。

北村英治さんのメンデルスゾーン、元気で朗らかでのびのびしてて良かったなぁ(´∀`)
曲の性格がよく似合ってた、うん。

良い意味で牧歌的というか、なんだろう、写実画がずらーっと並んだ回廊の中に
とん、と一枚だけ置かれた印象派の絵画のような、素直でほのぼのした明るさがあって、
メンデルスゾーンさんが空の高い所であれを聴いてたら、手を叩いて喜んでるんじゃないかな。







今度は北村さんが村井さんにジャズを教える番。


ジャズのテクニックのツボ。


ヴィブラートをリズムよくかけましょう


単にヴィブラートをやたらとワウワウやるのではなく、リズムに乗せてテンポ良くかける、という事。

お手本として「Moonlight Serenade」をチョイス、最近はリズムの速い演奏が多いけれど
この曲はゆったり演奏した方が良い味が出ますよ、と北村さんのアドバイスでゆったり演奏。

で、例えばムーンライトセレナーデの出だし、


レーーーーミファ レーーーーミファ レーーミファ レーーミファ ファ#ー ソーー


この長い「レーーーー」(付点2分音符~3連符の頭部分まで)をただストレートに吹くのでなく、


レレレ レレレ レレレ レミファ レレレ レレレ レレレ レミファ


……というように、一拍を三連符にして極なめらかに柔らかくつないだようなイメージで
ヴィブラートをかけると、おぉ、なるほど、ただまっすぐ吹くのに比べて格段に良くなる(゚O゚;


んで、「しめしめ、これは良い事を聞いたわい!!
ピアニッシモは無理でも、これだったら我が輩にもなんとかできそうではないか!!
さっそくモロに丸パクリさせてもらうとしよう、グエ~ッヘッヘッヘΨ(`∀´)Ψヶヶヶ!!」

と思って先日やってみたんだけど、デッデッデッデッデッデッデッデッデッデッデッデッ、と
道路工事でランマ走らせてるようなゴツゴツ音しか登場しなくって、
顔色よしっ!!!足元よしっ!!!今日も一日、ご安全にぃっ!!!



ちなみに北村英治カルテットによるムーンライトセレナーデの模範演奏の後、
村井さんはこの曲を大真面目に、ストレートに演奏。


北村「……村井さん、ヴィヴラートをかけましょうよ(´∀`)」

村井「……クラシックでは、ヴィヴラートは禁止されております……(´-ω-`)」

北村「まぁそう言わず、せっかくですから、ジャズはやっぱりヴィヴラートがないと、ねぇ」

村井さん、悩んだ挙句、首をわずかに振って音を揺らす

北村「……やや、首は振らなくていいんです(;´∀`)」


でも村井さん、ラストの「Sing, Sing, Sing」でむちゃくちゃいけてるソロを披露してたけど
ソロであんなに細かい所まで繊細に描写しきるジャズの人、まず聴いた事ないなぁ。

さっき書いたけど、例えば北村さんの演奏を、全体の風景をフワッと見て
最も鮮やかな色をどんどん乗せていく印象派の絵だとすれば、
村井さんは花を丁寧に観察して、おしべ・めしべや花弁まで精密に描き上げる
ボタニカルアートのような演奏だと思った。


そう、なにか曲を演奏する時、俺みたいなアマチュアが3段階、ジャズのプロが10段階ぐらいに
音をコントロールするとすれば、村井さんはそれが40とか50とか、アナログのツマミをいじって
無段階に調節しているような細やかさがあって、ああいう所がクラシックの人達の
「楽譜を作曲家の想いに寄り添って再現する」という職人芸に必要なセンスなのかもしれないなぁ、
と思った。



それと、北村さんが「あんまりお酒を飲んじゃうと息が続かなくなるので、
管楽器をやる人はお酒はほどほどに云々……」みたいな事を言ってたみたいなんだけど、
丁度この時、何故か突然、突発性難聴を発症してしまったので、
何をおっしゃっているのか、全っ然聞こえなかった、いやぁ、実に残念!!








北村「ジャズは、人の歌声や演奏をよく聞いて息を合わせた伴奏をする、という事も
   とても大切なんです、というわけで今日は歌手の方をお呼びしましたから、
   それに合わせて伴奏する練習をしましょう(´∀`)」


ここで八代亜紀さん登場、うおぉーー!!!会場大盛り上がり!!!


八代亜紀さんのジャズは、とにかくすごかった。圧巻。本物のジャズだった。

演歌歌手が隠し芸的に歌ってみました、みたいなレベルの話ではなく、
誰だろう……ジャズ界で言うと、ジュリー・ロンドン姉さんの声に艶と密度を高めたような
あの歌声は、長い間歌って相当磨きこんできたような匂いがするんだけど、どうなの……

ジャズのノリが沁み込んだリズム感でめちゃめちゃ楽しそうに歌っている所を見てると
ジャズ愛がビンビン伝わってくるし、
や、演歌の世界にいるから多分そんなに大っぴらには言わないんだろうけど、
きっと昔っからず~っとジャズに惚れこんでて、大好きなんだろうなぁ、と思う。


あと、生の八代亜紀さん、すっげぇ色っぽいのな(;´∀`)

「Bei Mir Bist Du Schon」を歌う時、ヴァースを村井さんに向けてムンムンと発射してて
村井さん「……ひ、ひぃ……ふぅ……(;´Д`A ```」とキョドってたけれども、すげぇわかる(笑)

あのオーラとお色気は、近距離で浴びるとなんかヤバい気がする(;´∀`)


八代さんが続けてやはり磨き込まれた「You'd Be So Nice To Come Home To」を歌いきった後は
北村さんと村井さんがクラリネットで「Memories of You」、そしてラストのアンコールに
三人で「Sing, Sing, Sing」、もちろん会場大沸騰、ドッカーン!!!


いやぁ、八代さんが歌い、北村さん、村井さんがソロを吹いて、
ちょっと俺の乏しい語彙ではなかなか文章で表現できないんだけど、
あれは凄かった、あれは、凄かった。

なんと言うか、すごい場所に居合わせてしまった、というような、圧倒的な、最高の一曲。

や、客席の俺らはもちろんだけど、ステージの上で演奏してるみんなも
めちゃくちゃ楽しかったんじゃないかな。


長々と書いたけど、振り返れば数分で終わってしまったんじゃないかと思えるぐらい
楽しい一時だった。

楽しい時間は速く過ぎ去る、というアインシュタインさんの説は確かに正しい、うん。


仕事中も、これぐらいの勢いでさっさと時間が流れてくれれば良いのだけれど(´・ω・`)










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